ベテランF1ジャーナリスト山口正己をあなどるな!?
水曜日に、ピットロードに、タイヤ交換のための停止位置を示すテーピングが完了していたのは、メルセデス、フェラーリ、フォースインディアの3チームだったが、金曜日の午後に行なわれたフリー走行2の結果は、見事に予言の通りだった!
1. ハミルトン+メルセデス
2. ライコネン+フェラーリ
3. フルケンベルグ+フォースインディア
だったのである。
偶然と言ってしまえばそれまでだが、だとしても、これだから自動車レースはやめられない(笑)。
もちろん、まだ金曜日であり、実は1時間半ずつ2回行なわれたフリー走行は雨にたたられた。それも、降ったり止んだりの極めて不安定なウェットコンディション。したがって、このオーダーだけで勢力図を図るのは正しい判断とは言えない。そもそもスケジュール初日の金曜日は、それぞれのチームが思い思いのプログラムを進め、タイムアタックをしているわけではない。
だが、モーターレーシングの何が面白いのかといえば、『不確定要素』である。自動車の競争であるモーターレーシングの面白さは、『わからないところ』だ。
他のスポーツも同じといえば同じだが、モーターレーシングは、その『わからなさ』が最も凝縮したスタートの瞬間が一番面白い。サッカーで“キックオフの瞬間が一番面白い”とは言わず、野球も、“第一球でチビリそうだ”とは聞いたことがない。しかし、自動車レースはスタートの瞬間が一番ドキドキする。
それは『わからない=展開が見えない』からだ。同じく、シーズン開幕前が面白いのは、勝手な憶測ができるからである。
勝手な憶測のために、例えば、準備の段階を観察して、そこから自分なりの展開を予測しておく。あたるも八卦、外れるも八卦だ。肝心なのは、勝手に予測することである。
とはいえ、“ぬか喜びはあとで悲しい”ということも覚えておいてほしいのだが、繰り返すが、肝心なのは『勝手な予測』である。その視点で、フリー走行2の6番手と7番手にマクラーレン・ホンダがいることに注目してみたい。
1. ハミルトン+メルセデス
2. フルケンベルグ+フォースインディア
3. ライコネン+フェラーリ
4. リカルド+レッドブル
5. サインツ+トロロッソ
6. アロンソ+マクラーレン・ホンダ
7. バトン+マクラーレン・ホンダ
8. フェッテル+フェラーリ
9. ペレス+フォースインディア
10. クビアト+レッドブル
これがフリー走行2の結果である。マクラーレン・ホンダが6番手と7番手にいる。タイムは、トップのハミルトン+メルセデスだけが1分38秒台であり、2番手から6番手のアロンソ+マクラーレン・ホンダまでが1分39秒台。1秒は実は“大差”だが、まぁまぁ拮抗しているともいえる。
コンディションが不安定だったこともあり、実を言うとこのタイムを直接比較することにあまり意味はない。だが、糠喜びを加速するネタはある。
マクラーレン・ホンダが並んでいることだ。マクラーレン・ホンダの二人は、アロンソの1分39秒895に対して、バトンが1分40秒008と比較的近いタイムを記録し、周回数も、アロンソが16周、バトンが13周と大差ない。つまり、ある意味で安定した力を出している、と見られるというわけだ。
もちろん、これはプラス要素だけを引き出して見ている結果であり、天気予報によると、土曜日の午前中まで雨が残り、午後からはドライコンディションになるという。
予定では、14時からがフリー走行3、16時から予選がスタートする。予報どおりなら、どちらもドライコンディションになるはずだ。ドライになれば、当然、速度は上がり、パワーユニットへの負荷が大きくなってトラブルの可能性が高くなる。
このままの順位ですべてが進むとは思えない。しかし、間違いないのは、マクラーレン・ホンダが去年より格段に安定してシーズンをスタートしたことだ。残るは、他のチームがどこまで進化したか。マクラーレン・ホンダと他チームの力比較は、レースが終わるまでわからない。
さらに、開幕戦のアルバート・パークは、公道を閉鎖した特設コースであり、チーム力が見えるまでには数戦が必要だ。
繰り返すが、モーターレーシングを楽しみたいなら、『勝手な予測』をすることである。当然、『勝手な予測』は徐々にできにくくなる。しかし、シーズンは始まったばかり。お楽しみはこれからだ。