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【コスワース番外編】1993-2004年のex-DFV時代のF1マシン

【コスワース番外編】1993-2004年のex-DFV時代のF1マシン

ブライアン・ハート製オリジナル・エンジン搭載のアロウズ公開!

 かつてはDFVエンジンがF1GPを席巻していたコスワース陣営だったが、ルノーが先鞭をつけたターボ・パワーにその座を追われてF1GPから撤退。その後、NAエンジンの排気量が3リッターから3.5リッターに引き上げられ、さらにターボ・エンジンが禁止されるに至って復権の兆しを見せることになる。ただしそれが明らかになるのはDFVの発展形(派生エンジン)であるDFYやDFRの時代ではなく、新規に設計されたブランニューのHBに始まる新世代エンジンから。

 今回はミナルディを例に引きながら、HBエンジンとEDエンジン、そして究極のCRエンジンを搭載した3台を紹介するとともに、DFVのチューナーからエンジンコンストラクターにまで昇格したブライアン・ハートのオリジナル・エンジンを搭載したアロウズも、コスワース番外編として紹介しよう。

1993 Minardi M193・Ford HB Series? カスタマー供給されたHBでフォード陣営に復帰
1985年にコスワースDFVを装着したM185でF1GPにステップアップを果たしたミナルディ。その後、85年シーズン中盤から87年にかけてはモトーリ・モデルニのV6ターボ、91?92年にはフェラーリやランボルギーニのV12を使用するものの、ともに2年でフォード陣営に復帰するなどエンジン“難民”ぶりを見せつけることになった。

 そして93年、フォード陣営に2度目のカムバックを果たした際に手に入れたのがカスタマー用のコスワースHBユニットだった。もっともワークス待遇だったベネトンも、このシーズンには同じスペック=HB Sr.?を使用していたから、ボスのジャン-カルロ・ミナルディにとっては久々に、エンジンの心配から解放された平穏なシーズンだったはず。韓国はソウル郊外にある龍仁三星(ヨンインサムソン)交通博物館にて撮影。

1996 Minardi M195・FordED2/3 排気量が3リッター以下となりEDに変更するもパワー不足に悩む
1995年にF1GPのテクニカルレギュレーションが変更され、エンジン排気量が3.5リッターから3リッターへと引き下げられている。この変更に対処する格好で、コスワースがリリースした新エンジンがEDだったが、新設計というよりもHBの基本設計をそのままに(?)排気量を引き下げただけのエンジンで、カスタマーたちはアンダーパワーに悩まされることになる。

 しかも、ワークスであるベネトンには競争力の高いZETEC-Rが供給されていたから、カスタマーたちの不満は募るばかりだった。そんな時代にEDのカスタマー供給を受けていたミナルディは、マレリと共同で専用のECUを開発、通称“EDM”と呼ばれるスペックに進化させたが、やはりアンダーパワーぬ苦しむシーズンとなった。ドイツ南部、ホッケンハイム・サーキットに併設のモータースポーツ博物館で撮影。

2004 Minardi PS04B・Cosworth CR-3L V10 コスワースの最終兵器を搭載したミナルディの最終兵器
1999年にデビューしたコスワースの最終兵器がCRエンジンで、このシーズンにワークスのスチュワートが1勝を挙げている。2002年からワークス以外にも(スペックダウンした)カスタマー仕様が供給されるようになった。この02年シーズンは、何度目かの浮気でアジアテック(=exプジョー)を搭載していたミナルディだったが、翌03年に4度目の陣営復帰を果たし、このV10ユニットを手に入れている。

ただし、期待したほどにはパフォーマンスは好転せず、03年、04年ともにコンストラクターズカップでは定位置の10位に留まっている。そして05年には、ミナルディにとっても最終兵器となるPS05がデビューするが、そのシーズンを持って活動を休止している。写真は、イタリアはモデナにあるエンツォ・フェラーリ博物館の企画展にて撮影した04B。

1998 Arrows A19・Hart メンテナンスからエンジンのコンストラクターになったハート
数多くのエンジンチューナーを育てたことも、レース界におけるDFV系エンジンの大きな“業績”だった。例えばハート。コスワースがDFVの生産で躍起になっていた頃、コスワースに代わってBDAのチューニングを行い、排気量を1.6リッターから2リッターにまで拡大したオリジナルのハート420Sを開発したことで注目を集め、以後もDFVからDFZ/DFRまで各時代のエンジンチューニングに留まらず、1993年には3.5リッターV10のハート1035、3リッター以下に規定が変わった95年には3リッターV8のハート830をリリースしている。

78年にDFVでF1キャリアを始めたアロウズは、90年代に入るとほぼ毎年のようにエンジンを変更、難民ぶりを見せるようになったが95年には、このハート830を使用。そして98年にはブライアン・ハートと共同で、1035をベースにしたアロウズV10を完成させている。写真はドイツのジンスハイム交通技術博物館で撮影した98年仕様のアロウズA19・アロウズV10。

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