ノーマルのルノーを魔法の手で変身させる「ゴルディーニ」(GORDINI)

ルノーのスポーツモデルに受け継がれる「魔術師の魂」

ルノーの2代目トゥインゴやウインドのスポーツモデルに設定されていた「ゴルディーニ」モデルは、そもそもチューニングの魔術師と呼ばれたチューニングの職人の名前に由来している。WEB CARTOP

イタリア生まれのアメディ・ゴルディーニ。自らもレースに参戦していたが、やがてチューナーとしての地位を確立。当初はシムカとジョイントし、ル・マン24時間で活躍。単独でF1GPに参戦したのち、今度はルノーと契約し、先ずはドーフィンをベースにしたチューニングカーをリリース。続いてR8をベースにしたR8ゴルディーニを登場させ、1964年のツール・ド・コルスではデビュー・ウィンを飾っている。69年にはルノーに吸収され、75年にはルノー・スポールに経営統合されている。

★風を味方に大排気量車に伍して活躍★
1939 SIMCA Gordini Cinq ?Le Mans

 ゴルディーニの名を一躍有名にしたモデルがシムカ・ゴルディーニ・サンク。これはシムカ・サンク…フィアット500「トポリーノ」のシムカ版をベースに、空気抵抗の小さいスリムなボディを架装したもの。タイヤはむき出しでサイクルフェンダーが装着されたオープン2シーター。

1939_SIMCA Gordini Cinq - Le Mans1937年のル・マン24時間レースに登場すると即、750ccクラス優勝を飾り総合でも17位入賞。翌38年は750ccクラスで1-2フィニッシュ。総合でも14-15位の好成績で、さらに翌39年も総合19-20位でクラス3連覇を飾っている。フランスはミュルーズにある国立自動車博物館に1台展示されているが、こちらはル・マン・サーキット博物館に展示されているACO(フランス西部自動車クラブ=ル・マン24時間レースの主催クラブ)が所有するクルマで、2015年のレトロ・モビルで撮影。1939_SIMCA Gordini Cinq - Le Mans

★王者フェラーリに、ノンタイトル戦では一矢報いる★
1952?Gordini Monoplace Type16 n゜32

 ミドルフォーミュラで活躍していたシムカ・ゴルディーニは、1950年に始まったF1GPにも挑戦を始めたが、非力で苦戦。その後シムカと袂を分かったゴルディーニは、52年からは単独で参戦を開始。新開発の2?エンジンを従来型シャシーに載せたタイプ16は、着実に戦闘力をアップ。猛威を振るったフェラーリを別にすれば、ワークスのロベール・マンヅォンがランク5位のクーパーに1ポイント差のシリーズ6位入賞を果たし、さらノンタイトル戦ではジャン・ベーラがワークス・フェラーリに一矢を報いていた。写真のマシンは1952年式のゴルディーニ・タイプ16で、フランスはリヨン郊外にあるロシュタイエ城自動車博物館で撮影。ミュルーズの国立自動車博物館にはタイプ16に加えゴルディーニのファイナルウェポン、56年のタイプ32も展示されている。1952_Gordini Monoplace Type 16 n゚32

★ルノーとのジョイント第1弾はドーフィンがベース★
1966?Renault Dauphine Gordini

 1956年にF1GPから撤退したゴルディーニは、再びロードゴーイングモデルのチューニングを手掛けるようになり、新たにルノーと契約。ルノーをベースにしたゴルディーニ・モデルの第1弾となるドーフィン・ゴルディーニを同年にリリースしている。ドーフィンは戦後、ルノーの復興をけん引した4CVの後継モデルで、ゴルディーニがルノーと契約を交わした56年にベースモデルが登場。

 ゴルディーニ・モデルは、その2年後にリリースされている。吸排気系をチューニングされたエンジンは35馬力(ベースモデルは26.5馬力)を発生。56年のミッレ・ミリアではクラス1-4位を独占。またツール・ド・コルスではベンツやポルシェなどの大排気量車を破り、56年から58年まで3年連続で総合優勝に輝いている。フランス西部、マノワール自動車博物館で撮影。1966_Renault Dauphine Gordini

★エンジンがワンメイクフォーミュラにも供給される★
1966-70 Renault 8 Gordini

 ドーフィンのフロアパンを進化させ、その上に角ばった、モダンな4ドアセダンボディを架装したモデルがルノー8(ユイット)、通称「R8」だ。ベースモデルは1962年に登場しているが、その2年後、64年のパリ・サロンではR8のホットモデルとして、R8ゴルディーニが発表されている。

 正確に言うならベースとなったのは1リッターエンジンを搭載するベーシックなR8ではなく、エンジンを1108ccまで拡大した上級モデルのR8マジョール。この1108ccエンジンを44.5馬力から倍近い81馬力にまでチューン。66年には排気量を1255ccにまで拡大、最高出力も88馬力まで向上している。

モータースポーツで振り分けられる1300?クラスの最大排気量となる。もちろんモータースポーツでも活躍するのだが、それはR8のみにとどまらずエンジンがフォーミュラ・フランスでも使用されドライバーを多数輩出したのだ。フランス東部のブレーヌ・アン・アイユにあるロレーヌ自動車博物館で撮影。1966-70_Renault 8 Gordini


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