素直な旋回特性は維持しつつ、後席に乗ったひとの快適性もある
超コンパクトボディのリヤに1リッターの自然吸気エンジンを積み、後輪を駆動するRRレイアウト。この特異なパッケージこそが、メルセデス・ベンツが提案するシティコミューターとして進化を続けるスマートの核心だ。実用的な近距離シティユースモデルとして、注目して損はないコンパクトといえるだろう。
歴代のスマートより大きいといっても、最小回転半径4.1m、全長3495mmとコンパクト。数字だけ聞くとプレミアムコンパクト界で思わぬ伏兵となる出来映え室内が狭く感じるのかもしれないが、ここでRRが活きる。

荷室の床面こそ下にエンジンがあるので高くなるが、ボディ4角にタイヤを配置でき、室内の広さの基準になるホイールベースを2494mmに設定(全長に対して76%におよぶ)。そこに全高1544mmという余裕の室内高が解放感を与えるのだ(立体駐車場も考慮した全高)。
加えて、先代スマートより数段高められたインテリアの高い質感により、エントリーモデルにありがちな安物感がない。また、リヤドア開口が大きく乗降性がよいことや、後席を倒して得られる1285mm×996mmのラゲッジスペースも魅力だ。
肝心の走りは、予想を上まわる質感がある。フォーツー(スマートの2人乗り仕様)よりも619mmも長くなったホイルベースが奏功して、乗り心地がよくクルマ全体の動きに落ち着き感がある。軽量コンパクトなクルマにありがちな、クルマごと路面のギャップで跳ねあげられる動きも少ない。
加えて走行振動も少なく、RRらしい素直な旋回特性は維持しつつ、後席に乗ったひとの快適性まで考慮している仕上がりは立派のひと言。重量はフォーツーより重いが、それでも約1トンの軽量ボディ。ひとり乗りなら、スムースな変速とダイレクト感を備えるデュアルクラッチの効果もあり、1リッターエンジンを感じさせずに軽快に走る。このような仕上げで、オートワイパーなど装備も充実しているし、対大型車との衝突安全まで確保。
車両価格も229万となり、実用的な近距離シティユースモデルとして、注目して損はないコンパクトといえるだろう。
(写真:大西 靖)