細かいデコボコはしなやかでビシッと安定している
続いて同じ2リッターながら、ターボなししエンジンなら3.5リッター級に相応する252馬力/370Nmという主力を出すエンジン搭載のクワトロ(4WD)に乗ってみる。4WD化により車重も120kg増えているのだけれど、62psの上乗せによりむしろパワフル。低い回転域からトルク出ており、文字どおり3.5リッターエンジンのようだ。
足まわりはどうか。FFもクワトロもドイツのお手本のような剛性感のあるボディに、滑らかに動く良質のダンパーを組み合わせている。加えて細かいデコボコはしなやか&車重が完全に抜けた後、フルストロークするバンピーな路面でもビシッと安定してます。このあたりは日本人として悔しい。
どうして日本車でこんなクルマが出てこないのか? 新型から装備されたアダプティブクルーズコントロールを試してみた。先代のアウディ・ジャパンの代表は「アウディのお客さんは運転が上手なので自動ブレーキもアダプティブクルーズコントロールも不要」と、この手の装備を日本仕様に付けないでいた。けれど使ってみれば便利! とくに渋滞時のノロノロ走行は圧倒的にありがたい。
自動ブレーキも、どんなに上手な人だってミスはする。クルマがカバーしてくれる可能性あれば有り難い。実際、スバルの調査では、事故を80%も減らすという数字出ている。自動ブレーキの無いアウディは私のショッピングリストに載らなかったけれど、新型A4なら大いに魅力を感じます。全車速対応のアダプティブクルコンも渋滞時に便利。
弱点ないのか? ひとつだけ挙げるなら微低速の滑らかさ。ゆっくり走り出すときや、バックする際、クラッチのジャダーが出ていた。このあたり、トルコンでなくクラッチ使っているため調整が微妙なんだと思う。試乗することがあれば、ぜひ微低速の前進とバックを試して頂きたい。この特性さえ気にならなければ問題ない。
もちろん新型A4がこのクラスでもっともいい、ということにはならない。クルマとしての魅力ならCクラスや3シリーズに一日の長があるし、燃費のいいディーゼルだって選べる。安全性と燃費に加え、価格面でも圧倒的な存在感もつボルボS60のディーゼルなどすばらしい。安くない買い物なのでジックリ迷ったらいいです。
(撮影:高木博史)