アクセルとブレーキの踏み間違い事故を限りなくゼロにできる発明
このところ頻繁に見聞きする、アクセルとブレーキの踏み間違いによる事故……。警察庁によると、この手の人身事故は、2013年には6448件発生し、54人が亡くなっている。年齢別では75歳以上の老人による事故が目立つが、20代も22%と、じつは年齢との直接リンクはあまり関係ないというデータがある。事故車のほとんどはAT車で、発進時に事故を起こす例が多いのが特徴だ。
これは写真の通り、アクセルとブレーキを一体化させたペダルで、足首を中心に、つま先を外側に開き、ペダル横のプレートを押せば、アクセルオン。ペダルを踏み込めば、ブレーキという仕組みになっている。
開発したのは、熊本県玉名市のナルセ機材有限会社。
およそ30年前、発明家でもある同社の社長=鳴瀬益幸氏自身が、踏み間違い事故を起こしてしまったことをきっかけに開発に取り組み、事故を防ぐためにアクセルとブレーキを一体化させた世界で唯一 の『安全設計ペダル』として製品化に成功(国内及び国際特許取得済)。
ほぼすべてのAT車に後付けが可能で、保安基準にも適合。右足が不自由な人のために、左足だけでも操作可能なタイプも用意。下肢に障害がある方が取り付ける際は、自治体からの助成金制度(上限で10万円)の対象にもなるそうだが、現在までに取り付けた約400台のクルマのうち、80%は踏み間違い事故の防止が導入目的だったとのこと。
日本各地で一日平均17件以上発生している、アクセルとブレーキの踏み間違い事故を、抜本から防ぐシステムとして、自動車メーカーも含めもっと注目されてもいい製品ではなかろうか。
慣れるまで操作に違和感があるような気がするが、利用者によると普通の2ペダルATより、安心して運転できるという。機会があれば一度ワンパダル装着車を試乗させていただき、その印象もレポートしてみたい。
(文:藤田竜太)
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