超一流が好むレーシングギアは歴史と研究開発に裏打ちされた技術力がある
いま日本の自動車文化においてサーキット走行のハードルはもっとも下がっている。各地にできたミニサーキットであれば数千円のコストでサーキットライセンスが取得でき、フリー走行の料金設定も100から150円/分のレベルから存在しているほど身近な趣味となっている。クルマにしてもノーマル状態でも走ることは可能だ。とはいえ、サーキット走行をするようになればクルマもチューニングしたくなるだろうし、スーツやグローブ、シューズといったレーシングギアにもこだわりたくなるものだ。
もちろんギアというくらいで機能を最優先して選ぶべきだが、ドライビングに最適なウェアやシューズを「見る目」を最初から持っているということはないだろう。ならば、信頼できるブランド選びの目安となるのは、あこがれのレーサーが使っているブランドということになる。もちろん歴史の長さも重要だ。長年にわたってトップカテゴリーのレーサーが使っているということは信頼性を担保する事実に他ならない。
前置きが長くなったが、レーシングギア選びにおいて、とくにレーシングシューズにおいて見逃せないブランドとして「アルパインスターズ」を挙げておきたい。最近でいえばセバスチャン・ベッテル、ちょっと遡ってミハエル・シューマッハにポール・トレーシーといった綺羅星のごとく輝くチャンピオンドライバーの足元で、共に闘っていたのはアルパインスターズのレーシングシューズであることは知られている。
同社の歴史は古く、50年を超えている。登山靴に始まり、二輪モトクロスのシューズからモータースポーツに関わってきたアルパインスターズ。1970年代に世界モトクロス選手権500ccクラスで5度のチャンピオンに輝いたロジャー・デコスタは、その初勝利をあげた1968年のイタリアGPからアルパインスターズのブーツを履いていたという。1970年代後半にはロードレースの世界でもアルパインスターズはチャンピオンの走りを支えることになる。やはり3度の世界チャンピオンに輝いたケニー・ロバーツもアルパインスターズのブーツを履いていたのだという。二輪GPでいえば、ランディ・マモラやミック・ドゥーハンといったライダーもアルパインスターズの愛用者だった。
そうしてトップカテゴリーのレース界で認められるようになったアルパインスターズは、ドライバーのパフォーマンスを最大限に引き出すレーシングスーツやグローブといったレーシングギア全般に、経験を活かすことになり、現在に至るのだ。
その製品コンセプトを一言でいえば、使うほどに馴染み、ドライバーと一体化するレーシングギア、といえるだろう。たとえばシューズでいえば「まるで素足のようでありながらも、踏力を確実に伝える極薄高剛性なソール」や「スムースなペダル操作をアシストするヒール形状」といったように明確な目的を持って、機能を構築しているのである。その上位グレードである『スーパーモノ』『TECH1-Z』において、アッパー部分に超軽量カンガルーレザーを使用しているのは、ドライバーの体と一体化し、思いのままにペダル操作をするための必然的なチョイスだという。こうしたこだわりが細部まで詰め込まれているのが、アルパインスターズのレーシングギアなのである。
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