マツダのコンパクトカーをバカにしちゃいけない!
「元気」の良いマツダから、モータースポーツベース車として、コンパクトカーのデミオの15MB(モータースポーツベース)が登場。ロードスターNR-A同様に、ワンメイクレースやジムカーナなどで使用されることを考慮したモデルだ。
静岡県にある富士スピードウェイのショートコースにて土屋圭市さんに試乗してもらった。果たしてその評価とは?
オレが「このクルマいいよ!」って薦められるレベル
これはクルマの動きがすごくいいね。足はフニャフニャだし、コーナーではフロントのアウト側に全重量がかかっちゃうんだけど、そのあとリヤが動こうとするのがいい。アンダーステアが出るはずなのに……と思うんだけど、リヤが仕事をしているからアンダーが消えるんだよ。
乗る前はアンダーでつらいんだろうな、と思っていたんだけど、1コーナー入ってビックリ。リヤがスーっとついてきた。これはファミリースポーツだよ! 舵角に対してフロントがちゃんと入ろうとして、一般的なFFはここでアンダーが出るんだけど、デミオはリヤもしっかり頑張っている。ファミリーがみんな頑張っている感じだよ(笑)。
お父さんだけじゃなくて、お母さんも、子どもふたりも、家族四人が一丸となって、ちゃんと4輪で曲げようと頑張っている感覚が伝わってくる。単なるファミリーカーじゃない。しっかり走れるクルマに仕上げられているよね。
エンジンはロードスターに比べると下のトルクをしっかり出している。上りじゃロードスターより早くエンジンが吹ける。もちろんギヤ比もうんだけどね。ファミリーカーらしく下のトルクを大事にしているセッティングだよ。
ミッションの感覚はとにかくフツー(笑)。普通車のFFのミッションって感じ。でもファミリーカーでもマニュアルがあるってことが嬉しいよね。デミオ15MBはベース車として、足やタイヤを変えて……って楽しめるクルマに仕上がっているよ。そりゃあロードスターに比べると雲泥の差だけれど、こういった実用性もあるクルマじゃなきゃって理由もあるはず。そんなひとに、オレが「このクルマいいよ!」って薦められるレベルにある。
「なんたって、サーキットでも走って楽しいんだから」
オプションで16インチタイヤやホイールなんか付いているけど、これなら鉄チンホイールに15インチタイヤでいいかな。カー用品店行って好きなタイヤとホイールを履かせればいいんだからさ。もしオレがこのクルマしか乗れないって状況になったら(笑)、車高調入れて、タイヤ&ホイール、マフラーを変える。これであとはノーマルで楽しめるかな。車両価格が約150万円だから、パーツ代入れても200万円に収まる。
ペダル位置やドライビングポジションはあまりよくないから(スポーツカーに比べて)ヒール&トゥがしにくいし、タコメーターが小さいのも気になった。ただ、このファミリーカーのデミオにマニュアルを載せたってのがエライよね。しかもマニュアルを載せただけのちゃんとした走りをもっている。ただのファミリーFFじゃない。
マツダはクルマ作りをわかっている。机上の空論じゃなくて、しっかり走ってテストしているのが感じられる。テストドライバーもしっかりわかったヤツがテストしているんだろうね。「やっちゃえ日産」じゃなくて、「やるじゃんマツダ」って感じだよ。