ダイハツはトヨタにとっての「MINI」ブランドになる!
2016年1月29日、ついにトヨタ自動車がダイハツ工業を完全子会社化するという発表があった。思えば、1967年にダイハツ工業と業務提携をしてから約半世紀、連結対象子会社としたのが1998年。じっくりと時間をかけての完全子会社化となった。つまり単純に業界再編的な子会社化というわけではなく、より関係を強固とするための完全子会社化という面もあるだろう。
その完全子会社化についての記者会見があった。子会社化するメリットについて、トヨタ自動車の豊田章男社長は、「トヨタと関連会社という関係では、トヨタは上から目線、関連会社は下から目線となってしまう。完全子会社化として一体化することで目線を同じ高さとすることで、シナジー効果を引き出せる」といった旨の発言をしている。
また、ダイハツ工業の生え抜きとして21年ぶりにトップとなった三井正則社長は「グローバルな展開、そして自動運転や環境対応といった次世代技術への対応を進める過程において自社だけではカバーしきれない。いままで以上にダイハツの強みを発揮するためには一体化が欠かせないと考えた」と発言した。
またダイハツブランドの未来について、豊田社長は「ダイハツをなくすことはない」と断言。三井社長は「ダイハツというブランドを、BMWとMINIの関係のように、トヨタにおける小型車ブランドとしたい」と意欲を語った。
今後、トヨタグループの小型車開発全般を担うことになるというダイハツ工業。記者会見では明言されていないが、その行間を読むと、トヨタからいえばこれまでの小型車開発部門の反発を抑え、しっかりと協業するための完全子会社化であり、またミドルサイズのクルマづくりを小型車に落としこむという開発思想から、軽自動車のテクノロジーを小型車に上げていくという手法をとるための説得材料としての子会社化といった印象を受ける。
そうした軽自動車に由来するダイハツ独自の基礎技術について、記者会見の場において「まさに『DNGA』ですね」と、トヨタの新世代骨格であるTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)にかけてネーミングするという豊田社長のリップ・サービスは、ダイハツの軽自動車へのリスペクトが感じられた。
ちなみに、豊田社長ではなく、レーシングドライバー “モリゾウ”としては、ミライースの走りに、クルマとの会話を感じたという。
じつは、これまでもダイハツのテストコースの走行時間でいえば、三井社長よりも圧倒的に長いというモリゾウ=豊田章男社長。完全子会社化したことで、これまで以上に堂々とダイハツ車の味作りにも参画できると、開発ドライバーとしての意欲的な顔ものぞかせたのが印象的な記者会見であった。
(写真:井元貴幸)
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