欲を言えば試乗はしたいところ
インテリアの確認ができたら、ショップスタッフに声をかけて、エンジンを始動させてもらおう。欲をいえば試乗したところだが、難しいと思うのでエンジンをかけた状態でもできることは多数ある。詳しくは下記表で説明するが、具体例としてはイグニッションキーをひねって短時間のクランキングでエンジンが始動するかを確認。始動までに時間がかかる場合は、燃調が濃い、エンジン始動と同時にクラッチを踏み込み、即座にミッションを1速に入れ、引っ掛かりがないか、弾かれる感覚がないかを確認することで、シンクロの傷みがある程度判断できるなどがある。トラブルの初期であればあるほど変化が微妙なので意識するという心掛けが必要だ。
ミッションは始動と同時にクラッチを踏み込み、シフトを動かしてみる。オイルの状態にもよるが、引っ掛かり感や弾かれる感じがある場合は、傷んでいる可能性が高い。クラッチミートのミートポイントが高い場合はクラッチディスクの摩耗も考えられる 最後はトランクルーム。カーペットをめくって、スペアタイヤがあるフロア部を見る。経年劣化でコンビランプからの水漏れも特有のトラブル。ひどい場合はスペアタイヤ下がサビサビになっている場合もある。また、後突で有無もチェック。腕のいい職人さんだと完璧に直っている場合が多いのだが、左右のシール(パネルの接合面)などの部分的な色の違い、床のパネルの成型などを見てなんかおかしいと感じた場合は大体事故歴あり。これも何台かクルマを見ていけば感じられるはずだ。ただし、トランクの事故は走りに影響が出ていない場合も多いので、他の程度がいい場合は検討するかちはありだと思う。
トランク内は経年劣化でコンビランプ部分から雨水が漏れる場合もある。ひどい場合は写真のようにスペアタイヤ下が錆だらけに。
後突事故の有無の判断は左右のシール部分の処置の差。フロアまわりの色、形状で判断。これは何台も見ないとは判断できない
画像はこちら これまで4回にわたり、R32を中心とした第2世代GT-Rの中古車購入法を紹介してきたが、総括すると、どれだけクルマがキレイでも、最終モデルの販売終了から14年以上が経過しているクルマ。トラブル(特に機関や電気系など)は同様の箇所に同様のような事例が起こりえる。最初から極上車を購入し、さらにメンテナンス費用をかけるのか、程度はそこそこで時間をかけて自分色に染めていくのかはオーナーの判断や価値観で決まる。ただ、これまで上げたチェックポイントをチェックすれば、最低限外れを掴まずにすむはずだ。検討を祈る。
●エンジン始動時のチェックポイント
箇所 | チェックポイント | 内容 | |
エンジン始動 | クランキング | スターターモーター劣化/燃調濃い | |
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アイドリング | 冷機時:1000rpm 以上、暖気後:900~1000rpm | |
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アイドリング(電気負荷) | 暖気後、ライト点灯にてアイドル上昇(100~200rpm) | |
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アイドリング回転 | 回転ムラ及びバラツキ(エンジン不調、改造の可能性有り) | |
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油圧 | 冷間時:4Kg/m以上、暖機後2~3Kg/m | |
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排気ガス | 排気ガス臭及び煙の有無 | |
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補助電動FAN | 暖気時作動の有無(サーモスイッチ劣化の可能性有り) | |
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エアコン | 作動状態(アイドル回転の落ち込みにて劣化判断可能) | |
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ショップのスタッフに声を掛けてから、エンジン始動。数回ブレーキペダルを踏んで、踏みながらエンジンをかける。マスターバック機能が正常ならば、ペダルが奥に入り、一定位置で止まる。長くクランキングがかかるのは燃調が濃いか、スターターモータ−の劣化。アイドリングは冷間時1,200〜1,300rpmで、暖機が終了すると950rpm前後になる。この値にならない場合はスイッチ類に異常がある
油圧は始動時4kgf/㎠以上、暖機終了時には2〜3kgf/㎠が基準。この数字が1.5kgf/㎠以下になったらオイルの劣化やオイルポンプの不具合の可能性あり
エアコンも含めて、すべてのスイッチは必ず動かしてみる。ライトが付くか、液晶パネルはどうだ、エアコンやヒーターはちゃんと効くかなどは必ず確認。壊れていれば大きな出費になる。ちなみにエアコンをいれると電気負荷が入り、アイドルアップするので1000rpmまで上がる
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