新規開発したら10年間使い続けることもある!
本来、クルマはそれぞれのモデルごとに専用設計されることが望ましいが、市販車の場合、専用設計では開発や製造にかかる期間が長くなり、また車両価格も高くなる。そこで、あらかじめ共用部分を決めてからモデル設計を行なう。そのためにあるのが「プラットフォーム」だ。
プラットフォームは、メーカーごとに数種類が用意され、ひとつのプラットフォームを長いものでは10年以上使い続ける。例えば、トヨタの新MCプラットフォームは2005年のRAV4で初採用されて以降、オーリス/カローラルミオン/プリウス/マークXジオ/アベンシス/レクサスCT200h、そしてMIRAIと、幅広く使い回されている。トヨタ以外のメーカーでも同様で、車種によっては3世代続けて同じということもある。
これはプラットフォームの設計自体が「幅広い車種に対応できること」が前提となるためだ。基本的にはサイズ(セグメント)に応じてエンジン搭載方式、駆動方式、サスペンション形式といった根幹部分を共用し、デザインや乗車定員、モデルのキャラクターに応じて「うわもの(ボディ)」を載せかえることで、ほとんどのクルマが設計されている。もちろん、ただボディを載せるだけではなく、そのクルマに必要な剛性を考慮したパネル設計(溶接方法や高張力鋼板の仕様部位、クラッシャブルゾーンの設定など)を行なったうえで最適化したボディをプラットフォームに組み合わせる。
ただ、最近では横置きエンジンのFFまたは4WDの車種が多いため、エンジン搭載方式に加え、キャビンをコクピット部分とリヤシート&ラゲッジ部分にわけて設計するモジュール型(フォルクスワーゲンがそうである)や、ハイブリッド仕様などバッテリーの搭載を前提にしたフロア設計のプラットフォームが増えてきた。そのうえ、運動性能を高めるための低重心化、さらなる高剛性化が図られているものもある。今やプラットフォームは車両サイズだけでは決められない時代になったと言える。
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