売れていたはずのフォードが日本市場を見限った理由は?
2016年1月19日にフィエスタに特別仕様車を発表(発売は2月13日予定)するなど、日本市場に対してアグレッシブな姿勢だったフォード・ジャパン・リミテッド(日本法人)。内部からも「販売好調」という声が聞こえていたが、フォード・アジア・パシフィックより『2016年末までに日本におけるすべての事業より撤退し、経営資源を他の市場へ集中させていきます。』といった発表があった。
まさに青天の霹靂といった撤退宣言だが、その理由として『日本における事業には今後収益性確保に向けた合理的な道筋が立たず、また我々の投資に対して十分なリターンは見込めないと判断しました』と説明されている。
つまり、日本市場の成長性への疑問や、様々な特殊性への対応にコストを割くだけの効果が見いだせないと判断したというわけだ。言い方を変えれば、特別仕様車や新型車の投入といった商品性アップによって「こうすれば日本で売れたはず」という話は、今回の撤退については、ちょっと的外れかもしれない。
もちろん、市場の特殊性についていえば、これまでもTPP関連の交渉で問題視された軽自動車のシェアが大きい市場であることは一番にあげられるだろう。また、VWが日本市場とは無関係なディーゼルでの違法プログラム問題によってブランドイメージを損ない、日本での販売を落とすといった、日本市場のリスクにも投資に対するリターンへの疑問を大きくしたのかもしれない。
そして、間もなく開催されるJAIA(日本自動車輸入組合)の合同試乗会や、フォードの売れ筋モデルであるエクスプローラーのタイタニアムの試乗会もキャンセルされるなど、一気に撤退に向けて動き始めている。インターネットでのバナー広告などはそのまま掲載されているようだが…。
それにしても、気になるのは撤退後のアフターサービスや部品供給、保証サービスなど。販売会社を通して提供するということだが、フォードの販売網は維持されないと予想される。果たして、アフターサービスの受け皿として名乗りをあげる企業はあるのだろうか。
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