■チャンピオンのニッサンは3連覇目指し体制さらに強化か
ニスモが2年連続のタイトルを獲得したニッサン勢の2016年シーズンだが、継続して4チーム/4台から参戦することが濃厚。2連覇を果たしたニスモは松田次生/ロニー・クインタレッリのふたりの継続は堅いだろう。連覇という結果は、混戦のスーパーGTではなかなかあることではない。逆に言えば、いじる要素が見当たらないのだ。
一方、ニスモと最後までチャンピオンを争った闘将星野一義監督率いるインパルも、15年までの体制を維持しそうだ。安田裕信とジョアオ-パオロ・デ・オリベイラというコンビは、速さと安定感という意味では実績十分とも言える。
動きがありそうなのは、モーラとKONDO RACINGの2台。モーラは昨年までの本山哲/柳田真孝のコンビから、本山と昨年GT300クラス、ヨーロッパのブランパン耐久シリーズで大活躍をみせた千代勝正のコンビになりそう。千代は長年ニッサンの育成ドライバーとして育ち、2016年は待望のGT500デビューになるだろう。
モーラから抜けた柳田は、古巣でもあるKONDO RACINGに移籍し、若手注目株の佐々木大樹とコンビを組むことになりそうだ。爆発的な速さをもつ佐々木と、高い安定感を誇る柳田のコンビは、チームが長年装着するヨコハマタイヤのパフォーマンスによっては、素晴らしい活躍をみせるかもしれない。
■逆襲狙うレクサス&ホンダ。あのドライバーの去就は
一方、昨年同様6台が参戦すると思われるレクサス勢だが、ドライバーは非常に流動的。トムスの37号車をドライブしていたアンドレア・カルダレッリが、ヨーロッパのGP2に参戦するのではないかという噂もあり、ここを中心としていくつかのドライバーに移籍がありそうなのだ。また、注目を集めているのは、過去に三度のチャンピオンを獲得し、テレビ出演などで最も知名度のあるGTドライバーのひとりと言える脇阪寿一の去就だ。陣営全体の移籍の中で、これまで所属したバンドウから離脱するのではないかという説もある。 レクサス勢の中で体制が継続されそうなのは、38号車セルモ、39号車サードのみとも言われている。年明けの時点でまだまだ不透明な部分が多く、レクサス勢は2月の発表までドライバーはまだまだ分からなさそうだ。
5台が参戦するであろうホンダ勢は、ドライバーの移籍は少なさそう。代わりに、車両面で大幅な変化も予想されている。規定導入から2年間そのまま使われていた、ハイブリッドユニットが下ろされるのではないかという説があるのだ。
スーパーGTをはじめモータースポーツの場合、ハイブリッドは燃費を伸ばすためではなく、低速コーナーの立ち上がり等でエクストラパワーを発生し、爆発的な加速を得るために使われることが多い。しかしスーパーGTにおけるNSXは、低速時には規定でモーターのパワーを使用することができない一方、バッテリー等の重量分、ライバルに対してデメリットがあった。このユニットを下ろすことで重量軽減ができる。問題はライバルに対するミッドシップレイアウトのメリットをどう調整するかだが、この改良がうまくいくと、GT500クラスの戦力図も激変するかもしれない。
■勝敗のカギ握るタイヤ。今年も戦いはアツい
スーパーGTではドライバー、マシンとは別に重要なファクターもある。それがタイヤだ。GT500クラスにはミシュラン、ブリヂストン、ヨコハマ、ダンロップという4メーカーが参戦しているが、近年ヨコハマ、ダンロップが急速に力をつけており、さらに先鋭化する開発により、レース中の急激な順位変動が展開されている。ある意味で、自動車メーカーの開発よりも重要なのがタイヤの開発なのだ。
すでに12月からマレーシアのセパンサーキットで恒例のタイヤテストが展開されており、今年もタイヤ開発競争は激戦となりそう。世界的に見ても現代のモータースポーツ界で“タイヤ戦争”があるのはスーパーGTだけで、このあたりも見逃せないところだろう。
メーカーの威信を賭けた戦いは、すでに動き出している。今年も大いに楽しみだ。次回は注目のスーパーカーが多数走る、GT300クラスについてご紹介しよう。
スーパーGT公式ホームページ
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